2010年06月28日

6月28日(月)貧困ビジネスを告発する「S工業訴訟」の傍聴を!

 ホームレス等の生活困窮者を対象に宿所を提供する代わりに生活保護費から高額の
費用を徴収して利潤を上げる「無料低額宿泊所や無届施設」の運営実態が「貧困ビジ
ネス」として社会問題となっています。
 Aさんら原告3名は、いずれも人材派遣会社S工業の運営する無料低額宿泊所(そ
の前は無届け施設)の元入居者で、今年2月9日にS工業に対して損害賠償などを求め
て名古屋地裁岡崎支部に提訴しました。
 6月28日(月)3回目の裁判(口頭弁論)が岡崎で開かれます。

 6月28日(月)1時10分、名古屋地方裁判所岡崎支部 303号法廷(集合1時)。
 終了後、弁護団から口頭弁論について説明などをしてもらいます。

 6月28日(月)貧困ビジネスを告発する「S工業訴訟」の傍聴を!
 ホームレス等の生活困窮者を対象に宿所を提供する代わりに生活保護費から高額の
費用を徴収して利潤を上げる「無料低額宿泊所や無届施設」の運営実態が「貧困ビジ
ネス」として社会問題となっています。
 生活保護費は憲法25条の生存権を実現するための最低生活費であり、第三者が搾取
をすれば最低生活を維持できないことに直結する重大な問題です。
 Aさんら原告3名は、いずれも人材派遣会社S工業の運営する無料低額宿泊所
(注:2009年7月31日までは無届施設)K寮の元入居者で、2010年2月9日にS工業に
対して損害賠償などを求めて名古屋地裁岡崎支部に提訴しました。
 6月28日(月)1時10分より、岡崎支部で3回目の裁判(口頭弁論)が開かれます。
 みなさん。ぜひ傍聴に駆けつけ、原告を励まし、この訴訟を支援してください。

【原告3人とS工業との関わり】
Aさん(59歳)とBさん(45歳)は、2008年秋以降の世界的な不況により、野宿状態
に追い込まれ、2009年3月21〜22日の愛知派遣村実行委員会主催の岡崎での駆け込み
相談会に行き、後日岡崎市役所に行き生活保護申請をしました。AさんもBさんも、
それぞれ岡崎市役所職員からS工業従業員が待機する相談室に案内され、その場で従
業員から住居が決まった旨の説明をされ、S工業のK寮に入居するための「賃貸契約
書」と「嘆願書」への書名捺印を求められ、生活申請後の一時的な住居と考えて、そ
れに応じました。

Cさん(41歳)は、2007年6月頃よりS工業に雇用されK寮に入居した。2009年2月頃
業務中の自動車事故による損害金名目で金銭支払いを請求され、弁済のために解雇扱
いで失業保険受給を指示され、その後生活保護受給を指示され、大半の金額を会社に
徴収されていました。

【S工業の運営する無料低額宿泊所(無届施設)K寮の実態】
1)無届施設時は、居室の居住スペースは3畳半程度で、風呂・トイレ・台所
等の水回りはなしで、居室料 3万7000円、その他に管理費3万円、布団レンタル代
1000円、冷蔵庫レンタル代300円、洗濯機使用料1回200円、電気代実費等を徴収され
ました。
生活保護費は、住宅扶助3万7000円、生活扶助7万4260円。保護受給者の手元に残るの
は3万7000円〜4万円程度で、これで食事その他を全て賄う必要がりました。

2)無料低額宿泊所時は、居室料3万7000円、食費(朝夕食のみ)2万7000円、施設
運営費1万5000円、管理費5000円、共益費3000円、水道光熱費5000円〜7000円程度
で、洗濯機使用料1回200円などを徴収されました。
    食事は、朝食が毎月配布される米(粗悪米)を自分で炊くよう指示され、生
卵、インスタント味噌汁1パック。夕食は弁当。ただし、朝食の生卵、夕食の米は、
不足して全員に行き届かないことがありました。
保護費のうち手元に残るのは2万円弱で、これで昼食その他を賄う必要がありまし
た。

3)その他の運営上の問題点としては、入居者に、外出先や目的を「お出かけ報告
ノート」に記載するよう要求。生活保護費の支給日は、社員が生活保護受給者を市役
所まで送迎し、市役所ケースワーカーから保護費を受け取る席に毎回入居者の左右を
挟む形で同席。施設に戻ると全員を集めて費用を徴収しました。プライバシーの侵害
と言えます。


【原告3人の訴え内容】
1)不法行為に基づく損害賠償請求(3人)
Aさんらが厳しい野宿生活という窮迫状態にあり、住居を確保して生活保護を受給す
るためにはS工業の示す条件で契約を締結するほかない事情にあることに乗じて、S
工業が上記のように不相当に高額な代金を示して契約をさせたことは不法行為であ
り、その損害賠償として、Aさんらが徴収されていた諸費用、慰謝料などを支払うこ
と。

2)不当利得返還請求(3人)
法律的には、他人の窮迫・軽率・無経験等に乗じて著しく不相当な財産的給付を約束
させる行為は暴利行為にあたり、任意の契約という形式にかかわらず公序良俗に反し
無効となる。Aさんらとの間で締結された施設利用契約は、Aさんらの困窮状態、無
知識に乗じていること、提供するサービスと対価が見合わないこと、最低生活費を搾
取され自立への準備もできず、この契約から脱する自由がなかったことなどの情を総
合すると暴利行為といえ、公序良俗に反し無効である。
そこで、不当利得に基づき、原告らから徴収した金額の返還をすること。

3)債務がないのに弁済をさせられた金額の返還請求(非債弁済)(Cさん)
    Cさんが損害金の弁済名目で失業保険や生活保護費から徴収されていた金額
を、不当利得として返還をすること。
(注:無料低額宿泊所とは)
「生計困難者のために、無料又は低額な料金で簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その
他施設を利用させる」ことを内容とする第2種社会福祉事業(社会福祉法第2条第3項
第8号)として運営される施設。


【訴訟の進行状況】
1)第1回口頭弁論(3月29日)
被告A工業側は、「この訴訟は原告らの金目当ての訴訟」というような主張をしてい
ます。そればかりか、裁判以外の場で、Aさんたちについて、金目当てで色々なとこ
ろを訴えている詐欺の常習者などという事実無根の情報を流したり、人格攻撃をする
ような言動をしています。こうした言動をしていることは、いかにS工業が社会福祉
事業の担い手として不適切であったかを示すものといえます。

2)第2回口頭弁論(5月10日)
 @ 第2回口頭弁論期日前にS工業はCさんの代理人に交通事故「賠償金」に関連
して送金してきたのですが、公判でCさんの代理人が追及したところ、被告代理人は
Cさんの請求を認めた上で弁済の一部を送金したことを認めました。早速前進です。
 @ また、S工業が「自立のために生活相談等をしている」というのですが、原告
代理人はその内容を明らかにすべきであると迫りましたし、裁判長も被告が負担した
実費や提供したサービス内容、原告らにどのような支援を行っていたかを明らかにす
ることを求めました。次回どういう回答をしてくるか楽しみです。
posted by ともに生きる社会を at 13:10| Comment(0) | 貧困問題全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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